NINJA TOOLS
Out of Ragol 偉大なるギャツビー Chapter1 忍者ブログ

Out of Ragol

 ぜんぶ、ときどきぷそ。

カレンダー
09 2017/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
リンク
カテゴリー
最新コメント
[11/25 きのこ]
[11/20 'x')]
[11/16 きりかぶ]
[10/23 たけのこ]
[08/31 きのこ]
最新記事
プロフィール
HN:
アウト+
年齢:
36
性別:
男性
誕生日:
1981/10/08
職業:
事務職
趣味:
遊びに行くこと
自己紹介:
PSOBBのプレイ日記が継続・変化してこんなかんじに。もっぱら映画の感想と普通の日記です。
バーコード
RSS
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
(09/15)
(09/16)
(09/30)
(10/07)
(10/08)
P R

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2017.10.21 (Sat)
Category[]

偉大なるギャツビー Chapter1

ともかく、ベイカー嬢は唇を小刻みに震わせ、ほとんど気がつかないくらい少しだけ僕に向かって頷いたかと思うとすぐに頭を元の位置に戻した。そのために彼女を何かのオブジェのように見せているバランスが少しばかり崩れたので、彼女はひやりとしたようだった。また僕は彼女に謝りかけた。完成された自己満足の成果はどんなものであれ僕に尊敬の念を抱かせる。
 僕は、その低い、人をときめかせるような声でつもる話を始めたいとこに向き直った。彼女の話すその声は、一言一言がまるで二度と聞けない音楽のように耳をくすぐる。彼女の顔は憂いを含んではいるが愛らしくきらきらとして、瞳も情熱的な唇も輝いていた。彼女の音楽的な声は男性を刺激し、彼女のことを忘れられなくする作用を持っていて、「きいて」というささやきや彼女が男と結んだ約束、ともに過ごした楽しい時間がもうしばらく続くような錯覚をもたらした。
 僕は彼女に東部に来る前にシカゴに立ち寄ったこと、何ダースもの人々が彼女との別れを惜しんでいたことを伝えた。
「ほんとうに?」彼女は飛び上がって喜んだ。
「町は火が消えたようだよ。車はぜんぶ車輪を黒く染めてまるで喪章のようだし、北の海岸では一晩中誰かが泣いていたよ」
「すばらしいわ!トム、シカゴに戻りましょうよ、あ・し・た!」そして彼女は脈絡もなく言った。「ねえ、娘に会って?」
「もちろん」
「まだ眠っているのよ。3歳になったの。前に会わせたかしら?」
「初めてだよ」
「じゃあ、会ってもらわなくちゃ。あの子はー」
部屋の中を落ち着きなくうろつきまわっていたトム・ブキャナンは、立ち止まって僕の肩に腕を置いた。
「今は何をしているんだ、ニック?」
「株屋だよ」
「誰と?」
 僕は何人かの名前を挙げた。
「一度も聞いたことがない」
 彼はきっぱりと言った。僕はなんだか腹が立って、「そのうちね」とだけ答えた。「東部にいれば耳にする」
「心配しなくても東部にいるよ」彼はデイジーを見つめながら言った。そしてもう一言二言何か言いたそうに僕に向き直った。「他に移ろうなんて思うのは余程のバカだ」
 この点については、ベイカー嬢から意見が述べられた。「まったくだわ」これが僕が部屋に入ってきてからというもの、彼女が発した最初の言葉だった。僕が彼女がしゃべったことに驚いたのと同じくらい、トムの言葉に驚いたようで、ベイカー嬢は一つあくびをしてすばやく優雅に立ち上がった。
「体が固まってしまったわ」彼女は文句を言った。「このソファに寝そべったきりで何もしていない気がする」
「私のせいじゃないわよ」デイジーが言い返した。「私は午後はあなたとニューヨークに行こうと思っていたんだから」
「行かないわ」ベイカー嬢はパントリーに載せられている4つのカクテルに向かって言った。「私はトレーニング中なのよ」
 この家の当主は疑り深い目で彼女を見た。
「それはそれは」トムは酒を飲み干しグラスのそこに一滴もないことを確認した。「君のやることなすことは一つも僕には理解できないな」
 ベイカー嬢は自分の「やることなすこと」を少し考えてみているようだった。彼女を見ていると楽しかった。彼女は華奢で、胸が小さく、若き将校のように姿勢を正していた。彼女の光を返す灰色の瞳は慇懃に、興味深げに彼女の青白い、魅力的な、そして不機嫌そうな顔を見つめている僕を見返した。僕は急に彼女の顔をどこかで見たことがあることに気がついた。
「あなた、ウェスト・エッグに住んでいるの」彼女は馬鹿にしたように言った。「知り合いも住んでるわ」
「知り合いが誰もいなくて―」
「ギャツビーのことは知ってるでしょ」
「ギャツビー?」反応したのはデイジーだった。「どのギャツビー?」
僕が近所のギャツビー氏について話そうとしたところで、ディナーの用意が整った。トムはいやおうなしに僕の腕を取り、まるで次のマスに駒を進めるみたいに引っ張り出した。
 ふらふらと、物憂げに、若い二人の女は腕をお互いの腰に回して僕らの先を歩き、夕暮れに向かって開かれたバラ色のポーチに案内した。4本のキャンドルの火が弱まった風に吹かれてゆらめいていた。
「どうしてキャンドルなの」デイジーの好みではなかったようだ。彼女は指でキャンドルをはじいた。「この2週間で一年経ったみたい」そして眩しそうに僕たち他の3人を眺めた。「ねえ、一年の間で一番長い一日について考えたりする?思い出したりする?私はいつもするの」
「何かしなくちゃね」ベイカー嬢があくびをして、ベッドに入るみたいにいすに腰掛けた。「いいわよ」デイジーが答えた。「何をする?」彼女は助けを求めるように僕を見た。「どんなことをするといいのかしら?」
 僕が返事をする前に、彼女の目はその指に釘付けになった。
「見て」彼女がその手を示した。「怪我をしたの」
全員でその手を見つめた。その小さな手は青黒くなっていた。
「あなたのせいよ、トム」彼女は責めるように言った。「怪我させるつもりじゃなかったのは知ってるけど、やったのはあなたよ。これだから、図体ばかり大きくて粗野な男と結婚するっていうのはー」
「図体ばかりという言い方をするな」トムが不機嫌になった。「冗談でもな」
「図体ばっかり」デイジーがまた口答えした。
PR
2014.01.12 (Sun)
Category[偉大なるギャツビー]
Comment(0)

コメント

この記事にコメントする
Name:
Mail:
URL:
Title:
Comment:
Password:
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Copyright © アウト+ All Right Reserved.
Powered by Ninja Blog.
Template-Designed by ガスボンベ.