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Out of Ragol

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2017.11.25 (Sat)
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偉大なるギャツビー Chapter1

明かりのせいで部屋の中は赤く染まって見えた。
 トムとベイカー嬢は長いカウチの両端にそれぞれ腰を下ろした。彼女はトムに向かって土曜の夕刊を読みあげた。ーーもごもごと抑揚もなく、何かを慰撫するように。ランプの明かりはトムのブーツを照らし、ベイカー嬢の秋の葉のような髪を鈍く包み、彼女が細く筋肉質な腕で新聞をさっとめくるたびに紙面をきらめかせた。
 我々が部屋に入ったとき、彼女は手でしばらく我々を制した。
「つづきはまた今度ね」彼女は雑誌をテーブルに放り投げつつ言った。「それでは次の話」
 彼女のひざの落ち着かない動きは、彼女本人より正直だった。彼女は立ち上がって言った。
「10時よ」いかにも壁の時計に気が付いたといった様子だった。「私はよい子だから寝るわ」
「ジョーダンはあしたトーナメントなのよ」デイジーが付け加えた。「ウェストチェスターでね」
「え、あなたがジョーダン・ベイカー?」
 僕はやっと彼女の顔をなぜ知っているのかわかった。そのご機嫌で人を小馬鹿にしたような顔を、僕はアッシュビルやホットスプリングスやパルムビーチなんかのいろいろなスポーツ誌で見ていたのだ。僕は彼女の過去さえ耳にしたことがあった。致命的で悲惨な話だったはずだが、ずっと昔に忘れてしまっていた。
「おやすみなさい」彼女はやわらかく言った。「8時に起こしてくれるわね?」
「起こして起きるものならね」
「起きるわよ。おやすみなさい、キャラウェイさん。ごきげんよう」
「本当に起きなさいね」デイジーが強調した。「実際、二人はお似合いじゃないかしら。ねえニック、ちょくちょく来てよ。そしたら私、いろいろと――協力――するわよ。例えば――クローゼットの中にウッカリ閉じ込めるとか、どういうわけかボートに乗せて海に流すとか、そういうね」
「おやすみなさい」ベイカー嬢は階段の上からまた言った。「なんにも聞こえないわ」
「彼女はいい子だ」少し時間を置いてトムが言った。「こんな風にいなかを走り回らせるやつらもいないし」
「やつらって誰?」デイジーがいぶかしげに尋ねた。
「彼女の家族のことだ」
「彼女の家族は1000歳くらいのおばさん一人だけよ。ところでニック、あなた彼女のこと気にならない?彼女はこの夏、ほとんど毎週末ここで過ごすのよ。彼女にとっては家庭的でいいと思わない」
 デイジーとトムはお互いの目と目を無言で見交わした。
「彼女はニューヨークっ子なのかな」僕は早口で言った。
「ルイスビルよ。古きよき少女時代を私も一緒に過ごしたの。美しき古きよき――」
「お前はまたベランダでニックに本音だと言って何か言ったな?」トムが急に強い口調でデイジーに尋ねたので、デイジーは僕を見て「どうだったかしら」と言った。
「そんなによく覚えてないけど、北欧人の話をしたと思うよ。そうそう。そんな話だった。僕たちに忍び寄ってきた最初の――」
「本気にするなよニック」トムは僕に助言した。
 僕はさらりと何も聞いていないと言い、数分後には帰路についた。彼らは玄関のドアまで僕を見送り、朗らかな四角い明かりの下で隣り合って立っていた。僕が車のエンジンをかけたとき、デイジーが威圧的に叫んだ。「待って!」
「ねえ、聞き忘れたことがあるのよ。大切なことなの。西部の女の子と婚約したって聞いたんだけど」
「そうだ」トムもやんわりと同調した。「君が結婚すると聞いた」
「そんなこと誰が言ったんだ。金がなくて結婚なんてとても無理だよ」
「でもそう聞いたのよ」デイジーがまるで花が開くようなものいいで粘ったので僕はびっくりした。「三人からそう聞いたわ。だから本当だと思ったの」
 もちろん僕には彼らが探りを入れているということがわかっていたけれど、はっきり言って僕には婚約するあてさえなかった。実際のところ、そういう勝手な結婚予定が広まってしまったのも僕が東部に来た理由のひとつなのだ。単なるうわさごときで古い友達を捨てるわけにはいかないが、僕は単なるうわさごときで結婚するわけにいかないのだ。
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2014.05.08 (Thu)
Category[偉大なるギャツビー]
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偉大なるギャツビー Chapter1

言うまでもなく、馬のことはすっかり忘れ去られていた。トムとベイカー嬢が、それぞれ薄暮の中を書斎に向かってふらふらと歩き出した。まるで寝ずの番をしている誰かに確認しに行くみたいだった。僕は耳が聞こえなくなった振りをしつつ、和やかな雰囲気をなるべく漂わせて、眼前のポーチに続くベランダに行ったデイジーの後を追った。そして深い薄暗がりの中で、籐の椅子に隣り合って腰を下ろした。
 デイジーはそのかわいらしい顔の輪郭を確かめるように手で頬を包み込み、天鵞絨のような夕闇の空へと視線を動かした。僕はデイジーがきっとひどく心を乱しているだろうと思って、心を落ち着けそうな無難な話題(彼女たちの娘の話など)をひねり出そうとした。
「ねえニック、私たちはお互いのことをあまり知らないわね」デイジーが突然言った。「いとこ同士なのに。結婚式にも来てくれなかった」
「まだ戦争から戻れなかったからね」
「そうだったわね」彼女はためらいがちに続けた。「ねえ、私、いろいろとひどい目にあったのよ。だからかなり、ひねくれてしまったの」
 正直に言って、彼女にはそうなる素養はあった。僕は続きを待ったが、もう彼女は何も言わなかった。続きがなさそうなので、僕はとりあえず彼女の娘の話をしてみた。
「あの子は…よくしゃべるほうだと思うわ。食べるし…なんでもやるわ」
「そうかい」彼女は僕をうつろな目で見つめていた。「ニック、聞いて。あの子が生まれたとき、私がなんて言ったと思う?ねえ、聞きたい?」
「とてもね」
「まだはっきりと思い出せるわ。何もかもね。ねえ、あの子は生まれてまだ一時間も経っていなくて、トムはいなかった。誰もどこにいるのか知らなかった。私が麻酔から醒めたとき、完璧な捨て子みたいな気分だった。そしてすぐに看護婦に男の子か女の子か聞いたの。そしたら女の子だって教えてくれた。私は頭を振って泣いてしまった。『いいの、女の子でいいの。この子が賢くならないように祈ってるわ。女に生まれたら馬鹿な美人になるのが一番だもの』」
「ねえ、これでわかったでしょう」彼女は確信的に言った。「みんなそう思っているのよ。一番上等な人間でもね。私にだってわかる。私だっていろんなところでいろんなものを見ていろんなことをしてきたのよ」彼女の瞳は挑むように光っていた。傲慢なトムの目にも似ていた。そしてヒステリックに笑った。「こういうことを洗練されたって言うのかしら!」
 彼女の声が止んだ瞬間、僕はふっと気持ちが緩み、自分を取り戻した。彼女の言葉は彼女のやっていることとあまりにもかけ離れていた。それは今日のディナーがまるごと僕の感情をひっぱりり出すための罠なんじゃないかと思うような、そんな不安な気持ちにさせた。そして僕は彼女が僕を一通り眺めるのを待った。そのかわいらしい口元に不思議な笑みを浮かべて僕を見つめる視線は、まるで僕が彼女とトムが所属している差別的な秘密結社の一員にふさわしいかどうか確認しているかのようだった。
2014.02.09 (Sun)
Category[偉大なるギャツビー]
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偉大なるギャツビー Chapter1

ベイカー嬢と僕は、意味もなくちらりと視線を交わした。僕が何か話そうとしかかったとき、彼女は腰を上げてシーっと自分の唇に指を当てた。部屋を隔てて、激情を押し殺したささやきが聞こえてきた。ベイカー嬢は恥ずかしげもなくあからさまな盗み聞きを果敢に続けた。かすかな声は、一貫して震えていたが、悲しげに沈み、盛り上がり、ぱったりと途絶えた。
「さっきのギャツビー氏っていうのは僕の近所のー」僕は言いかけた。
「しゃべらないで。何が起こっているのか聞きたいの」
「何か起こっているのかい?」僕は素朴に尋ねた。
「あなた、僕は知らないって言うつもり?」ベイカー嬢は驚いたようだった。「誰だって知ってると思ってたわ」
「知らない」
「なぜ・・・・・・」彼女はためらいがちに言った。「トムにはニューヨークに女がいるの」
「女がいる?」僕はばかみたいに繰り返した。
ベイカー嬢はこくりと頷いた。
「ディナーの真っ最中に電話を掛けてこない分だけ上等だと思わない?」
僕が彼女の言った意味を理解する前に、ドレスとレザー・ブーツの靴音が聞こえ、トムとデイジーが戻ってきた。
「もう我慢できない!」デイジーが愉快そうに叫んだ。
彼女はベイカー嬢と僕を意味ありげに見つめながら腰を下ろして続けた。「ちょっと外を見てみたの。外はすごくロマンティックな夜だわ。芝生に鳥がいるの。きっとキュナードかホワイト・スター・ラインを超えてきたナイチンゲールに違いないわ。鳴いているの―」彼女の声はまるで歌うようだった。「ねえ、ロマンティックじゃない?トム」
「とてもね」トムは言ってから惨めそうに僕に向かって続けた。「ディナーは終わりにして、馬小屋を見せたいんだが」
 電話が部屋の中で、誰かを脅かすように鳴っていた。デイジーが馬小屋の話を持ち出したトムをまっすぐに見つめた。実際はどんな話題でも消えてなくなる運命だった。テーブルの上で5分間のうちに起こり、粉砕されたもののうち、僕が覚えているのはキャンドルの火が再び明るく漠然と輝いたことと、僕が他の3人をちょうど同じくらいの長さになるように眺め、彼ら全員から目を背けていたことだ。僕にはデイジーやトムが何を思っているのかさっぱりわからなかった。でも僕は、非常に完成された懐疑主義者に見えるベイカー嬢にさえも金属的に鳴き続ける5番目の客人(電話)のかなきり声は予想の範疇を超えていたのではないかと思う。非常に限定された気性の持ち主であれば、その状況を楽しめたのかもしれない―僕の気性の場合は、「すぐに警察に電話しよう」だった。


2014.01.30 (Thu)
Category[偉大なるギャツビー]
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偉大なるギャツビー

彼の様子はどこか悲壮だった。彼が自己満足しただけではもはや終われないと言った調子で、年甲斐もなくむきになっている。そのとき、ほとんどだしぬけに、部屋の中で電話が鳴った。突然入った邪魔にぱっと目を輝かせたデイジーは僕にもたれかかり、執事が電話を取りにポーチを出て行った。
「ねえ、家庭のひみつを教えてあげる」彼女は熱っぽくささやいた。「執事の鼻のこと。ねえ、執事の鼻の事ききたい?」
「そのために僕は今夜尋ねて来たんだよ」
「ねえ、彼はずっと執事をやってたわけじゃないのよ。昔はニューヨークで銀磨き職人をしていたの。200人もお客さんがいたの。朝から晩まで銀を磨いて、ついに鼻に影響が出てしまったのよ―」
「物事って悪くなる一方なのよね」ベイカー嬢が付け加えた。
「そう。さらに悪いことに、彼はその仕事をついに辞めちゃったの」
 夕暮れの最後の一滴が彼女の顔の上にロマンティックな光を投げていた。彼女の声を聞いていると、息つくまもなく引き込まれそうだった。やがてまるで楽しかった遊び場を離れて家に帰らなくちゃならない子供のように名残惜しそうに、太陽が沈んで夜の帳が下りてきた。
 執事が戻ってきてトムの耳元で何事かつぶやくと、トムは顔をしかめて椅子を押しやり、何も言わずに家の中に引っ込んでしまった。彼がいなくなったことで何らかの刺激を受けたらしいデイジーが、再び僕によりかかった。彼女の声は輝き、歌っていた。
「ねえ、あなたがここにいてくれてとっても嬉しいわ。あなたはまるで・・・薔薇、まさに薔薇みたいなの。そう思わない?」デイジーはベイカー嬢に確認を取った。「まさに薔薇?」
 全然思わない。僕は薔薇が好きでさえない。彼女はただ思い付きを口にしたに過ぎない。こういった息をするのも忘れて胸が高鳴るような言葉で人の心を開かせようとするのは、彼女の暖かい心の単なる現われなのだ。そして彼女は突然持っていたナプキンをテーブルの上に放ると、一言断って家の中に入っていった。
2014.01.15 (Wed)
Category[偉大なるギャツビー]
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偉大なるギャツビー Chapter1

ときどき、デイジーとベイカー嬢は一斉にしゃべり始めたが、ごく控えめに茶化すとしても、黙りこくっているということは一切なく、その白い二人のドレスや欲望の欠落した冷めた目つきとは矛盾していた。彼女たちはここにいて、トムと僕の存在を受け入れてくれていた。礼儀正しく席に着き、彼女たちを楽しませ、また、彼女たちの話を楽しむ限りにおいては。そしてそろそろディナーの終わりとともに、この夕暮れも終わり、さりげなく解散の運びとなるだろうこともわかっていた。ここが西の卵とは全く違っているところだった。西の卵の島であれば、なんとなく付きまとう失望の予感や、時間に対する不安感から、夕べの集いを終わりへと急き立てているところだろう。
「デイジーといると自分が野蛮人のような気がする」僕はクラレットに似たコルクの風味の2杯目のワインに白状した。「取ってきた果物や獲物の話をしない?」
 僕は特に深い意味もなく言ったのだが、思わぬ反応があった。
「文明なんてものは粉々になる運命なんだよ」トムが暴力的に割り込んできた。「何の希望も見えない。ゴダードという男が書いた『有色人種国家』というのを読んだか?」
「知らないな」僕は彼の調子に驚きつつ答えた。
「ふん、なかなかいい本だ。読むべきだ。内容は、もし我々が白人の未来というものを見ようと―しない、しないなら、没落の一途を辿るだろうというものだ。科学的根拠もある」
「トムも賢くなったものね」デイジーが悲しげに軽口を言った。「分厚くて文章が長い本を読むのよ。なんと書いてあろうと私たちは―」
「俺の読んでいるのは科学的なんだよ」トムがデイジーを腹立たしげににらみつけながら主張した。「作者があらゆる観点から裏づけを取ってるんだ。俺たち次第なんだよ、俺たち支配者層が見張るか、別な人種が支配を始めるかなんだ」
「私たちが皆殺しにしたのよね」デイジーが輝く太陽に向かったように激しくまばたきしてささやいた。
「カリフォルニアに住んだらどう―」ベイカー嬢が話し始めたが、トムは椅子に深く座りなおして彼女の邪魔をした。
「この思想は我々が北欧人だからだ。俺もそうだ、君も、君もだ。そして―」かすかなためらいのあと、トムはわずかな頷きでもってデイジーも北欧人に含めた。デイジーは僕にもう一度僕にまばたきした。「―そして我々は文明というものに向けてあらゆるものを製造した。ああ、科学や美術も、あらゆるものをだ。わかるかな?」
2014.01.14 (Tue)
Category[偉大なるギャツビー]
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